内容 ^
指紋・掌紋・足底紋とは、指、手掌、足底の隆線が平滑又は適切な表面に接触したときに形成される痕跡又は画像である。
これらの隆線は胎生第4か月から出現し、生涯を通じて、さらに死亡後も身体が分解するまで変化しない。
基本的性質は、通常条件下で安定し不変であり、異なる二人の間でも、同一人物の異なる指の間でも、特徴点の配列が同一となることはない点にある。
- 陽性痕と陰性痕。
- 肉眼で識別できる可視又は顕在痕。
- 汗、塩類、ブドウ糖、コレステロール、揮発性脂肪酸などの無機・有機成分から成る潜在又は不可視痕で、磁性粉末、通常粉末、化学薬品その他の技術的方法により顕出されるもの。
二つの痕跡の同一性判断は、十分な数の個別特徴点の対応と比較、並びにその唯一性と特殊性に基づく。
適用分野 ^
指紋等の科学技術的活用と対照により、生存者又は死亡者の身元を安全に確認できる。具体的には次の場合に用いられる。
- 犯罪行為に関与した未知の犯人の身元確認。
- 逮捕された者の身元確認。
- 被疑者と犯罪現場で発見された痕跡との関連付け。
- 被害者及び行方不明者の身元確認。
- 場所又は物に正当な理由で触れた者の確認。
- 虚偽の身元情報を述べる者又は身元情報の提供を拒む者の確認。
- 同姓同名の場合の疑義の解消又は確認。
- 記憶喪失、聾唖、昏睡状態にある者の確認。
- 交通事故、大規模災害その他の原因による身元不明遺体の確認。
- 誤った者の収監の確認及び誤った者の釈放防止。
証拠価値 ^
訴訟上、指紋はその所有者による犯罪実行を自動的に証明するものではなく、解釈を要する徴表である。固定物上にあればその場所への存在を、可動物上にあればその物への接触を示すが、その物の使用を直ちに示すものではない。たとえその物が犯罪の手段として用いられた場合でも同様である。正しい結論のためには次を総合評価する。
- 物への接触と物の使用との区別。
- 痕跡が発見された場所又は物上の正確な位置。
- その場所への正当な存在及び問題物件への正当な接触。
- 血液、塗料、油など他の徴表の併存。
- これら他の徴表の併存が事案上正当化されるか。
- 利用不能なものも含めた他の痕跡の存在。
- 発見、顕出、採取、転写、輸送、保管、流通及び利用に用いられた手順。
- 各事案の具体的事実から生じるその他すべての要素。
実施する検査 ^
国際的に認められ、科学的に根拠があり、裁判上受け入れられる科学技術的方法を適用して、次を行う。
- 個別特徴点の表示及び利用された特徴点の評価。
- 痕跡の発見場所と位置の評価、物が可動物か固定物かの評価。
- 隆線連続性の後天的中断、すなわち永久又は治癒可能な損傷の評価。
- 顕出、採取、転写、包装、輸送、保管、移動及び利用手順の評価。
- 指紋票の品質評価。
- 潜在痕の記録又は転写の品質評価。
- 寒冷、湿度、付着面、経過時間、環境など痕跡を変化させる要因の評価。
- 痕跡の真正性の評価。
- 痕跡の種類、カテゴリー、分類及び由来する身体部位、すなわち指、手掌、足底の評価。
- 指紋票の分類及び保管の評価。
- 可能な場合の指の特定の評価。
- 実施された指紋採取の適法性の検討。
- 場所への存在及び問題物件への接触の正当性の評価。
- 痕跡上の血液、着色物質など他の徴表の評価。
- 発見場所及び当時の状況に応じた利用可能痕跡の評価。
- 痕跡相互又は痕跡と人物との同一性・関連性の評価。
- 利用不能な痕跡が発見された場合の評価。
- 痕跡が発見されなかった場合の評価。
- 発見された痕跡の証拠価値の解釈。
現場検証 - 評価 - 活用 ^
さらに次を実施する。
- 各種犯罪行為又はその他の事件の現場検証、及び関連物件の検査を行い、調査地点と痕跡又は他の痕跡が発見・採取された地点を評価する。
- 指紋等に関する事案において、国又はその他の鑑定機関・専門家による検査報告、鑑定報告及び意見書を評価する。
- 追加検査を要する資料を活用し、追加分析、記録、提示のための法科学上の点を示し、検査・利用が可能であったのに請求されなかった点を特定する。
事案に応じて提示され得る例示的質問 ^
- 痕跡の証拠価値は何か。
- どのような条件で痕跡の存在が正当化されるか。
- 痕跡の同一性を示す特徴点は何か。
- 問題痕跡の発見場所、位置、物件はどのように評価されるか。
- 問題痕跡の検索、転写、記録、検査の方法はどのように評価されるか。
- 痕跡の真正性はどの要素から評価されるか。
- 利用可能な痕跡が発見されなかったとは何を意味するか。
- 痕跡が全く発見されなかったとは何を意味するか。
- 痕跡相互の関連性はどのように評価されるか。